1970年から20年以上にわたって続いたカンボジアの内戦。長きに渡った内戦の傷跡は現在もカンボジアのあちこちに残っており、なかでも特に深刻といわれているのが内戦中に埋められた地雷の問題です。
シェムリアップ中心部から北へ30kmほど離れた場所に、この地雷問題を専門に紹介する博物館「地雷博物館(Cambodian Landmine Museum)」があります。滞在中にお世話になったトゥクトゥクのドライバーさんから「絶対に見ておいたほうが良いよ」と強くおすすめされ、足を運んでみることにしました。
Contents
かつて少年兵だったアキラ館長
地雷博物館は、シェムリアップ中心地から北に約30kmほど離れた農村地帯にある小さな博物館。クメール・ルージュの元少年兵だったカンボジア人、アキラ氏の手によって開設されました。
5歳のときにクメール・ルージュの手により両親を殺されたというアキラ氏。13歳でベトナム軍に捕まるまではクメール・ルージュの少年兵として活動していたそうです。さらにその後はベトナム軍・カンボジア軍の兵士となり、かつて自分が所属していたクメール・ルージュとの戦いに参加。10~20歳の貴重な青春時代を丸々戦争と共に過ごしてきたという、大変過酷な経歴の持ち主なんです。
内戦中に自身が埋めた地雷によって多くの人が犠牲になっていることを知ったアキラ氏は、自責の念から地雷除去技術を独学で習得し、除去活動を開始。46歳となった現在も除去活動を続けるとともに、地雷博物館を運営、さらには地雷によって手足を失った子どもたちの養育にも尽力されています。
地雷博物館の展示
地雷博物館の館内では、アキラ氏が実際に除去した地雷や不発弾、各種武器を間近で見学することができます(ここにある地雷や武器はすべて安全処理が施されていますのでご安心を)。私たちが見学した日は残念ながら不在でしたが、タイミングがあれば、アキラ氏本人から日本語で展示内容を解説してもらえる場合もあるのだそうですよ(なんと日本語も独学で習得されたそうです)。
博物館の展示によれば、カンボジア国内にはこのような地雷が推定400万~600万個も残っているとのこと。どこに何個埋めたか正確なことは誰もわからないなか、多くの国民が地雷による被害をいまだ受けている現状があります。そういった被害を少しでも減らすべく、アキラさんのような方々が自身の命をかけて懸命に活動されているわけですが、完全除去への道のりを想像すると気が遠くなる地雷の数ですよね・・。
また、博物館内にはカンボジアの近現代史や地雷禁止に向けた国際的な取り組みなどに触れた展示も多数あり、小規模な博物館ながら展示はなかなかの見応えがあります。いまだ地雷を生産している国があること等、恥ずかしながらこの博物館を訪れるまで知らなかったことがたくさんありました・・。
まとめ
先日当ブログで記事を公開したプノンペンの「トゥール・スレン虐殺博物館」「キリング・フィールド」同様、この地雷博物館も訪れて楽しい気分になる観光スポットではありませんが、だからこそ1人でも多くの方に訪れて頂きたい場所だなと感じました。もしカンボジアでこれらの施設を訪れる機会があれば、カンボジアに残された地雷の責任は誰にあるのか?、なぜ最悪な大量虐殺が起きたのか?、そしてそもそもカンボジアに苦難の歴史をもたらしたのは何が原因なのか?等、ぜひ思いを巡らせてみて頂けたらと思います。
なお、私は時間の都合で立ち寄ることができなかったのですが、地雷博物館の近くには日本人報道カメラマン・一之瀬泰造氏のお墓があります。浅野忠信さん主演の映画「地雷を踏んだらサヨウナラ」を観たことがある方もいらっしゃるかと思います。時間が許せば、地雷博物館と合わせて訪れてみてはいかがでしょうか。
スポット情報
地雷博物館(Cambodian Landmine Museum)
http://www.cambodialandminemuseum.org/
住所: Angkor National Park, 7km south of Banteay Srey Temple, Siem Reap
TEL:(+855)15-674-163
開館時間:7:30~17:30
入場料:5USドル(12歳以下は無料)
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